観光のカタチとこれから②ー株式会社KYOTOyuiー

2016年7月、KYOTOyuiは株式会社として設立される。KYOTOyuiは

「さまざまな産業・地域・文化に光を当て、お客様との縁を結ぶこと、そこで経済効果もあげていただいて、観光に結びつける。」

ということの企画開発と販売のお手伝いをメインとしている。これはKYOTOyui設立までの経験、感じたものが大きく反映されているという。

前回の記事はこちらから→観光のカタチとこれからー株式会社KYOTOyuiー

和束町に観光客を…

「どんなことをしてきたのか…というところでお話をしますと、和束町の話しや刀鍛治職人さんとの話をよくしています。」

まずは宇治茶の主産地でもある和束町の話だ。

近藤さんは2012年、「和束町雇用促進協議会アドバイザー」を委嘱され、5、6年誘客のために活動をしてきたという。

「街に観光客を呼ぼうよということで和束町(宇治茶の主産地)で観光アドバイザーとして仕事もしていました。当時は観光のかの字もない場所で、空き家対策もしながらコツコツと活動を続け、コロナ前では海外からの観光客を見ない日はないような場所にしたりしました。」

そしてこの和束町での活動は近藤さん自身の想い出にも強く残る、感動的な活動だったと振り返る。

和束町のヘリ遊覧に関する新聞記事

「茶畑を空から見るというヘリ遊覧を始めたんです。騒音もあるなか住民の方から多くの理解を得て活動でき「近藤くんが頑張っているから」という言葉にも励まされました。」

誘客できる場所にまで育てることができ、近藤さん自身としても充実した期間になったと話してもらった。

加えて「人」や「文化」にスポットを当てるという上では、刀鍛冶職人さんとの話になる。当時、ほぼ仕事がないという状況だった刀鍛冶職人さんにスポットライトをあて体験を売り出すと海外のお客様が取り上げて一躍人気者になったという。

「多くの海外からのお客さまがいらして、そしてメディアも取り上げてくれて…。結果として本業の刀も売れだしました」

誰にどのようにスポットライトをあてるのか

売り出す、こともすごいことだが、どうやってスポットライトを当てる人を見つけるのだろうか。人・物・文化に光が当たる観光を心がける中で何に注意しているのだろうか。

「例えば刀鍛冶さんの話でいくと、刀に関して思いが強く、本当にすごく刀について勉強していて、いろんなかたちでお話ができるのが魅力です。体験、旅行においてお客さんの1つの喜びというのはその人の思いに触れるという部分だと思います。なので、その人となりを大切にしています。

口下手でもいいから思いを語れる、伝えられる人たちにお声かけしていると続けた。

そして必ず近藤さん自身がその人とあって、話しをして決めるのだという。ものすごく労力がかかる部分だが、自分自身で見る・聞くという部分を簡略化しないことに近藤さんが手がけるコンテンツの魅力があるのだろう。

ものだけでなく、その作り手の想いにも焦点をあてることを大切にしている。

「私は何か工芸を受け継いだわけではありません。ですが、受け継いだ想い、繋げるための思いを持っている方は少なからずいらっしゃるので、その方達に光を当てたいと思っています。その思いが、出会いをお客様にも大切にしていただいて、結果として商品が売れるという形が観光の1つの使命ではないかなと。

近藤さんの家系について初めに伺ったが、背景を踏まえた上で今の活動に行きついているのだと考えると納得できる。

日々の暮らしの提案とKYOTOyuiの展望

そんな近藤さんだからこそ、日々の暮らしをちょっと良くするアイデアを聞くと、

「触れられるもの」

を手に入れるといいと話した。

「伝統産業は人となりや思いに触れることができます。例えば食器1つ価値のあるものを手にしてみるのもいいかもしれません。その食器で食事も変わります。楽しみも、空間も変わりますからね」

時には喧騒な場所から離れて自然をみることもいい、時には価値のあるものを探して思いに触れるのもいい。ちょっとだけ普段と違うものに触れることで日々の暮らしは変わっていくのかもしれない。

近藤さん自身は今後、47都道府県、KYOTOyuiの活動、ノウハウを拡げていきたいと話してくださった。

「私は京都で観光業・旅行業として実績を積みました。その中で全国各地に僕みたいな人を作っていきたいな、という思いがあって「yuiプロジェクト」を今現在スタートさせています。仙台、金沢、高知、岡山、そして京都の僕と勉強会や事業の話を進めているんです。」

旅行業をやっている経営者を集めてそれぞれの地域で活動を進めていると話す。また、近藤さん自身が介入するのではなく、その地域の人で経済効果をあげてほしいとも続けた。

「地産地消ではないですが、地域の人たちがその地域でしっかり経済効果をあげていきましょう、ということ。そのため地域の人と繋がって活動を行っています。これを47都道府県繋げていきたいなと思っています。僕がやるというよりはその地域の人たちでやってもらって、僕のこれまでのノウハウを提供しながら、ということで活動しています。」

「国の光を観る」そのために近藤さんは使命を持って様々な要素に目を向け、取り入れ、それらを丁寧に繋げて行っている。この事業の考え方は観光や旅行が好きな方にはもちろんだが、それ以外に生活・仕事面でも生きてくる。少しだけ日々の見方、考え方を変えて、生活するきっかけになるかもしれない。

PICKUP

〈前編〉日常から離れる。「山暮らし」とは?|山座熊川・福井県若狭町

ライター:yumeka

香りと、旅をする。〜淡路島|お香の長くて深い歴史〜

【八王子蒸溜所#02】「トーキョー」のクラフトジンを目指して

台湾珈琲って一体なんだ??台湾をまた好きになるコーヒーの話し ~台湾珈琲Vol.…