台湾から届くコーヒーの風~台湾珈琲Vol.2~
「台湾にはクオリティの高いコーヒーがある!」コーヒーをもともと好きだった人、そうでなかった人にも知ってもらいたいことがある。それは日本と台湾の歴史だ。
一杯のコーヒーを通して台湾をより深く知るきっかけになる。そこから台湾のコーヒーに限らず農作物や観光地に関心を持つのも楽しいかもしれない。そんな、旅のきっかけになる話。
台湾珈琲推進企画の活動に携わる長谷川典子さん、髙橋友梨香さんから引き続きお話を伺った。
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両国の歴史|日本と台湾にある「珈琲」の存在
台湾が日本だった時代(1895年 – 1945年)に遡る。(以下、長谷川さん提供)
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当時、日本が国産コーヒーとして、国の事業としてのコーヒー栽培が展開されました。台湾総督府の技師、田代安定によって熱帯植物殖育場が建てられ、栽培の基礎を確立。
終戦後、コーヒー栽培は下火になっていきましたが、921地震(1999年)で被害にあった農村再生のため、台湾政府(現:行政院農業部農村發展及水土保持署)により、珈琲栽培の復興、それに対するバックアップが行われました。コーヒー栽培・精製技術は日進月歩で進化し、近年台湾珈琲はスペシャルティコーヒーとして世界一にもなっています。
毎年国際珈琲祭が開かれ、また国民の消費量も年々増加しており、コーヒー王国として発展し続けています。
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このような背景を持つ一方、急激な品質向上のためか、質の良さに対して認知度が追いついていない状況である。そこで日本人に歴史を含めて知ってもらおうと、日本に向けての発信が政府主導で行われるようになったそう。
長谷川「我々のチームもこの企画の意図に賛同し、まず2020年にコーヒーを通した日本と台湾との心の交流を描いた短編映画『初めての珈琲』を撮影。2021年から本格的にこの映画とともに台湾珈琲を日本全国の皆さんに知ってもらうべく活動してきました。」
歴史を知るとまた違った見方、味わい方ができる。繋がれてきた台湾珈琲を、この先に繋いで行くのは今を生きる消費者の役目なのかもしれない。
*短編映画は現在youtubeでも視聴可能(URL記事下部)
「お茶」から「コーヒー」へ…栽培する土地も影響する?
台湾というと「お茶」のイメージが強かったが、歴史も含めコーヒーの生育土壌は脈々と受け継がれてきた。特に台湾は栽培できる面積が小さく、かつ、機械が入れられないような傾斜の山で栽培されている。
一見デメリットに感じられるが、機械を使わずに熟した実を目で見て手摘みする、という収穫方法は品質の高いコーヒーに仕上がるポイントの1つでもある。
コーヒーノキの栽培ではある程度の日照量は求められるが、直射日光には弱いという特徴も持つ。そのため傾斜地を利用し、直射日光を避けて栽培されるのが一般的。
加えて標高1000m~2000mが一般的には栽培に適していると言われ、寒暖さを利用しながらじっくりと成熟させていく。そして手摘みすることで、成熟した実のみを収穫することができ、雑味がなく美味しいコーヒーに仕上がるわけだ。
長谷川「同じ品種のコーヒーでもその土地その土地の味わいがあります。台湾珈琲は台湾茶の隣で作っていることも多いためか、『台湾のお茶感が感じられる』『コーヒーではあるけどコーヒーではないような飲んだことのない味わい』とよく言われます。」
もちろん、栽培エリア、標高もそれぞれの農園に違いがあるため、同じ品種を栽培しても風味が変わってくるのも面白いところだ。
農家の熱量とコーヒーシーンの加熱
ちなみになぜ台湾珈琲が近年急激にレベルを上げているのか…?実はここには珈琲農園同士協力、密な情報交換があるという。
品評会もありそれぞれの農園が評価される中、秘密にしておきたいところではあるが、台湾のコーヒー農園が一定のレベルを保ちながらより上がっているところにはそういった部分が隠されている。
また農家の熱量の背景には、安いお茶が入ってくるようになり国産が売れなくなり、親の代から場所を譲ってもらうなどのケースもあるそう。=若手のオーナーも増え活気があるようだ。
髙橋「次世代の40代くらいのオーナーさんが多いため、熱量も活気もあるのが特徴ですね。バリスタや焙煎士の分野でも世界的な大会で優勝者を排出する国にもなっています。」
もともとカフェ文化もあった台湾だが昨今では、スペシャルティコーヒーの提供をするお店も増え、台湾のコーヒーシーンは加熱してきていると言う。
長谷川「私たちも日本と縁のある台湾珈琲とそのカルチャーをきっかけに、台湾自体に興味を持ってくれる人が増えることも念頭において活動しています。台北だけでなく、台湾中部の街や山間部にも興味を持ってもらえると尚うれしいですね。」
ますます注目を集めるであろう台湾珈琲。良いコーヒーを作る台湾。台湾の良さが広く伝わって欲しいとお二人は話してくれた。台湾旅行を計画している方はぜひ、コーヒーも頭に入れておいておくといい。
youtube :初めての珈琲
INFORMATION
台湾珈琲推進企画
台湾政府農業部農村發展及水土保持署の主導。2020年にコーヒーを通した日本と台湾との心の交流を描いた短編映画『初めての珈琲』を撮影し、2021年から本格的にこの映画とともに台湾珈琲を日本全国の皆さんに知ってもらうべく活動を開始。『台湾珈琲祭』と言う企画では2021年〜2022年にかけて日本全国60軒以上の珈琲店に協賛をいただき『初めての珈琲』の上映、1000kgを超える珈琲豆を日本に輸出。
HP: https://www.taiwancoffee.tw/ja