香りと、旅をする。〜淡路島|お香の長くて深い歴史〜
ふと、お香の匂いで懐かしい気持ちになったり…。
理由はなくとも心が落ち着いたり…。
香りには、記憶や心と結びつく素敵な効果があるとされていますが、その中でもお香は日常に彩りを与えてくれるツールです。
今回は、日本で一番「身近な香り」と言っても過言ではない、「お香」の歴史についてご紹介します。
香りの島の物語
日本におけるお香のはじまりは、西暦595年。現在、生産量日本一を誇る淡路島でのことです。
当時、淡路島のとある島民が、海岸に流れ着いた1本の流木を持ち帰り、薪に使おうとした時です。火をつけた途端に素晴らしい香りが…。
驚いた住民が慌てて火の中から引き上げ、皇室に献上したと言い伝えられています。聖徳太子はその流木が香木であることを見抜きました。
その木は日本に伝わった初めての香木として、現在もなお「枯木神社」で御神体として祀られています。
そして、時は流れ1850年。
港が閉ざされる冬、生活苦に悩んでいた住人が冬枯れ対策として始めたのがきっかけとなり、淡路島で本格的にお香づくりが始まったそうです。
そしてその動きは、島の風土を活かし、今日まで発展を続けてきました。
今でも島を歩くと、どこからともなく優しい香りが漂ってきます。それはきっと先人から受け継いできた誇りの香りなのではないでしょうか。
参考:香源「お香の歴史」
参考:兵庫県中小企業団体中央会「あわじ島の香司ブランドを世界へ発信」
楽しみ方も変化して…
少し前までは、お香というと仏壇をイメージする人が多かったかと思います。
しかし現在では、見た目や香りの種類も豊富にあり、仏事用としてだけでなく、普段の暮らしの中に取り入れる人も多くなってきました。
日本で唯一「香司(こうし)」と呼ばれる香りマイスターが存在する淡路島。
時代の変化に伴って変化していく香りの楽しみ方に合わせて、次の時代もきっと日本のお香文化を引っ張って行ってくれることでしょう。