五感に触れる、わたしの旅

小田原に生まれた『はれやか農園』| まきさやか #02 〈タシナミ〉

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小田原に生まれた『はれやか農園』| まきさやか #01 〈タシナミ〉

農園をひらくまでの一歩と苦労…

突然農業の世界に踏み出す勇気、ハードルは結構あったんじゃないですか?

ーだいぶありましたね。元々虫も嫌いだったんですよ!(笑)運動も得意な方じゃなかったので。

やっぱり、私が踏み出せたきっかけは師匠の存在が1番大きいです。

当時、話を聞きに行って、研修させてくださいと話をさせていただいた師匠が面白い人で。(笑)

*まきさんは生まれ育った神奈川県で農地を探し、その中で小田原市にある矢郷農園で2年間の農業研修を行った。(最長2年間、県が認める先進農家や先進農業法人などで研修を受ける方には市からの支援が認められる)

参考:小田原市HP 新規就農者に対する支援事業について

中央から師匠である矢郷農園・矢郷史郎さん。矢郷農園の右腕、高橋さん。

研修された矢郷農園さんのいいところをぜひ教えてください。

ーとにかく面白い(笑)。みんなでいられて、素でいられて、頼れる。私が独立して新規就農しても、いざとなったら頼ろう!みたいな気持ちになれてます。

実際に農業の研修を始めてみて実際に苦労されたことはありましたか?

ーぱっと出てくるのは、蜂に刺されるのがめっちゃ怖かったです。普通に、そこら辺にスズメバチが飛んでたり。もう、サバイバル精神が身につきましたね。それは怖くもありつつ、良かったところだなと思います。

今はだいぶ慣れましたが、それでも蜂の季節が来るのは嫌です(笑)

そんな修行を経て、「毎日仕事や勉強に追われて気分がどんよりしている時にふと畑に足を踏み入れると、柑橘の香り・海の汐風・生い茂った緑が広がり、不思議と気分が『はれやか』になっていくー」というコンセプトで開いた『はれやか農園』。

レモン栽培と「はれやか農園」について

ご自身の『はれやか農園』では、主に柑橘系を育てていらっしゃいますが、どうやって決めたのでしょうか?

ーやっぱり『耕作放棄地』が多かったので、傾斜地でやろうって思いました。あとは、柑橘の中でも特にレモンって鳥獣害の被害を受けないので、動物が食べないというメリットもあります。

他には、ミカンは12月に一気に収穫しますが、レモンの場合10月くらいから6月くらいまで半年間ずっと収穫し続けられるんです。秋はグリーンレモン、冬になると黄色いレモン。ずっと実がなり続ける品種なのでもう収益的に安定してるんです。

小田原のレモンは実は有名なんですよね。

ー小田原には片浦レモンというレモンのブランドがあります。片浦地区は私が今、畑をやっている地域なんですが、そこで育てているレモンとか情報を集めていって、ここでレモンを育てるのがよさそうかなって思いました。場所的にも傾斜地なので、水はけがいいのも特徴です。また、海辺という立地なので、海からの照り返し、日光の照り返しもいいので栽培に適した環境となっています。

環境はもちろん、住む人々も含め小田原には魅力がたくさんあると話す。

『はれやか農園』で作っているレモンと一般的なレモンの違いはどんなところですか?

ー色々あるんです。まず、 香りが全然違います。皮の香り…とってもいいんですよ!あとは、収穫してすぐのものを使えば、ただ酸っぱいだけじゃなくて甘みがあるので、いくらでも食べられます!

今はどこで購入できる形になっていますか?

ー今、ちょうどオンラインショップを作っています。6月にはレモンは収穫できなくなっちゃうので。レモン以外の甘夏だったり、バレンシアオレンジっていうオレンジも販売する予定です。

「働き方」と農園のこれからについて

イベントなどでは自家製のシロップをつかったドリンクも提供している

24歳にして自分の農園を持つまきさんに、色々な働き方に悩む現代女性へのアドバイスを伺った。

ー私も大学4年の時は、「もう教育はちょっといいや」ってなるくらいに悩んでいて。正直、農業に出会う前は、あんまりやりたいことがない、そんな状態でした。その状態で一社、内定をいただいて一度承諾もしてしまったのですがやはりモヤモヤは続き…。

判断に悩んだということですね。どう乗り越えたんですか?

ーやっぱり今はやりたいことないけど決めちゃダメだって思って、内定を辞退して、その後に農業に出会ったという流れでした。

当時はとにかくいろんな人にそのモヤモヤについて話しをして、聞いてもらいました。だから、ちょっとでも悩んだら声に出して話を聞いてもらったり、文字に起こしてみたり、無理に整理するよりは吐き出していくことも重要だと思います。

最後にそんなまきさんの今後の展望を伺った。

レモンを使った美味しいリキュールを作りたいと思ってるんです!レモンって丸かじりできないので、レモンもより美味しく食べたり飲めたりできるものっていうのをとにかく作りたいです。

私自身もレモンサワーが好きなんですけど、焼酎がそんなに得意じゃなくて。癖が強いっていうか、お酒感が強すぎるっていうか。だから自分のレモンならって思いました。

今は松田町にある中沢酒造さんと、一緒にリキュール開発に向けて動き始めています。200年の歴史のある酒蔵さんなんです。中沢酒造さんに協力していただいて、ぜひみなさんに私のレモンをリキュールでも楽しんでもらいたいです。

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