余白に触れる場所へ(前編)|「log&sauna 和 – nagomi, wakayama -」
灯屋合同会社が手がける「log&sauna 和 – nagomi, wakayama -」は、一日一組限定の宿泊施設として和歌山県紀の川市上鞆渕に2024年10月にオープン。紀の川市上鞆渕は豊かな自然が多く残り、限界集落とも言われる土地だ。
驚くようなエリアだが、クラウドファンディングでは開始からわずか51時間で目標としていた300万円を達成。最終ゴールとしていた700万円も達成した。(参考:CAMPFIRE)
灯屋合同会社 共同代表の麳聖貴(こむぎきよたか)氏、大江一生(おおえいっせい)氏の地元や施設造りへの気持ちと熱意が多くの人に広がり注目を集めている。
今回は代表して大江一生氏(以下、大江氏)からお話を伺った。
「いつか地元に貢献したい」から始まった二人の歩み
共同代表の二人は和歌山県で育ち、就職後は東京で過ごした。都会の快適さも田舎の良さも知った二人は、なぜ和歌山県紀の川市上鞆渕に一日一組限定の宿泊施設、プライベートサウナを立ち上げようと思ったのだろうか。
「実は私たちは高校の野球部の先輩後輩の関係なんです。就職した会社も同じで、上京してIT企業に勤めていました。付き合いも長いですが『いつか地元に貢献できることをしたい』という想いは、かねてから共有していましたね。」
都会と田舎の両面を知ったからこそ、さらに和歌山や自分が育った土地へ関心が向き、貢献したいと考えたそう。そして、事業を計画する中で最初に決めたことが次の二つ。
・オフラインサービス
・好きなものをテーマにした事業
「普段のサラリーマンの仕事は対面でカスタマーと会うことが少ないため、直接カスタマーと会えるような事業体をやりたい。と決めて、事業案を作っていました。」
大江氏は、市内での事業も考えたものの「和歌山の良さ」「ユニーク性」に欠けることを感じたそうだ。その中で「自然が豊かな部分」「のんびりとした時間が流れる」田舎ならではの空間提供をしたいと思い立ち、場所選びがスタートする。
「二人ともサウナが好きで、自然豊かな場所で事業を行うと想定した時、想いの部分と収支に整合性が出て、かつ可能性がありそうな事業ということで事業内容を組み立てました。」
まさにお二人の想い、考えにフィットする内容がプライベートサウナ付き、一棟貸宿泊施設なのだ。
何もない場所だからこそのメリット
サウナや自然のかけ合わせは昨今かなり人気を集めていて、利用するユーザーの感度もかなり高くなってきている。その中で私たちが驚いたのは地図上で「log&sauna 和 – nagomi, wakayama -」の建設場所を見た時だった。
「『え、ここに?』というのはよくいただく反応です(笑)。和歌山の人もあまり知らないくらいの田舎ですからね。」
和歌山県といえば熊野古道や高野山、ビーチで有名な白良浜、橋杭岩、瀞峡など、あげればきりがないほど自然の観光エリアが存在する。
しかし、そのような観光エリアとは一線を画する場所に目をつけた。
大江氏はさまざまな条件を考え、土地柄やコンセプトを活かせる場所を50軒以上探し回り、紀の川市上鞆渕に辿り着いたと話す。
「実際に現地へ行ってみると言葉の通りの限界集落でした。土地も荒れ放題でしたし、人も少ない。ただ、ものすごく静か。ただ、コンセプトである『自然に還り、自分を感じる時間』を過ごせる空間を作るにはぴったりだな、と。」
何もない場所だからこそのメリット。そこに実はアクセスの都合も関わっているのだとか。
「施設の場所は大阪から1時間半、京都市内と神戸の三宮からは2時間、近畿の三つの大きい都市から2時間圏内。関西空港からは高速で1時間程度です。ちょっとした旅行には無理のない距離感だと思っています。また、道中、和歌山県の良いところに触れてもらえるチャンスでもあるなと思います。」
麳氏、大江氏ともに「広義に」和歌山県を盛り上げたいという思いがあり、実際に住んだ土地ではなかったが、生まれ育った地元だと思って挑戦している。その熱意があるからこそ、サウナ好きだけでなく多くの方から支援されているのかもしれない。
ー前編 ENDー
*予約ページは記事インフォメーションより
INFORMATION
log&sauna 和 - nagomi, wakayama - (灯屋合同会社)
一日一組限定の宿泊施設として和歌山県紀の川市上鞆渕に2024年10月にオープン。 自然の多く残るエリアで、非日常を満喫できるサウナ施設と一棟貸のログハウスが待っている。 *施設紹介・予約ページ下記記載
住所: 〒649-6571 和歌山県紀の川市上鞆渕1560-1
HP: https://nagomi-wakayama.snack.chillnn.com/snack/top