2枚のスクラッチが与えてくれたもの|くったりベア
2枚のスクラッチが与えてくれたもの
宝くじが当たったら、そのお金を何に使いたいですか?
この問いについて、誰しも一度は考えたことがあるだろう。私はこう答える。
「もし3億円当たったら、仕事を辞めて彼氏との生活費にする」と。
私には韓国人の彼氏がいる。
付き合って5年が経った。数回、日本に訪れて何ヶ月か住む程度で、ずっと一緒にいるわけではない。知り合った時は全く日本語が話せなかったが、現在は日常生活には困らないレベルで日本語が使える。
ある日彼は「もし、もっと自分がお金持ちだったら、日本でずっと暮らすと思う」と言った。聞けば、私と日本で一緒に暮らしていける保証が無いからなんだとか。
たしかに、彼は国籍が違うため将来的に正社員として仕事を得ることが、この日本では難しい。
近くにいたとしても、ある意味遠距離恋愛なんだな…と、ふと感じる。
それなら、私が二人分の生活費を稼げればいいのではないか?とも思った。だが現実的には難しい。そこで思い浮かんだのが宝くじだった。
私は1年に2〜3回宝くじを買う。とくに時期に決まりはなく、なんとなく、なんとなくだ。
2人で次の日、結果がすぐわかるスクラッチを2枚買った。1枚200円だから、2枚で400円。結果は、200円が当たった。
生活費にするには程遠い。
スクラッチだから1等3億円というわけでもないし、当たったとしても生活費が賄えるわけではない。
でも、200円を宝くじに払うことで、私は違った感情を手に入れられる。
「もし当たったら何を買うか」「どんな生活をしたいのか」
結果が出るまでの間、現実ではないが現実味を帯びた空想をする。もちろん、購入しなくたってできることだが、宝くじを手に持っているだけで、違った楽しさと興奮が生まれる。
当たり前だが、人は今あるものでどう生活するか考える。その選択肢が増えると未来に対する楽しさや ワクワクもちょっとだけ増える。そんなワクワクを提供してくれるものは、宝くじのように、意外と身近にあるのかもしれない。
ーENDー