入る前がいちばん長い
この前、初めて一人で飲みに行きました。
…と言っても、
最初からそのつもりだったわけではありません。
バスを乗り間違えて、慌てて降りた場所。
ふと顔を上げると、前に一度だけ行ったことのあるお店がありました。
少しだけ迷って、
そのまま通り過ぎることもできたけど、
なんとなくドアの前で立ち止まりました。
「一人で入るの、どうしよう」
そう思いながら、少しだけ考えていました。
入ってみると、少しずつ自分の時間になる

思い切って入ってみると、
拍子抜けするくらい自然に時間が流れていきました。
前に来たときに見かけたお姉さんたちがいて、
「前も来てましたよね」と勇気を振り絞って聞いてみる。
そこから少しずつ会話が始まって、気づけば店内に馴染んでいました。
常連さんが代わる代わる来て、
軽く会話をしたり、名物の生ハムを分けてもらったり。
一人で来たはずなのに、思っていたよりも賑やかな時間でした。
それでも最初のうちは、少しだけ緊張していました。
どのタイミングで話しかけたらいいのか、
どこまでその場にいていいのか。
普段なら気にしないことが、少しだけ気になる。
でも、時間が経つにつれて、だんだんと力が抜けていきました。
少しずつ、自分の時間になる

会話が途切れたあとも、
その場にいることが自然になっていました。
飲み物をゆっくり飲んで、
少しだけぼーっとする。
誰かと過ごす時間と、
ひとりでいる時間が、
ゆるく混ざっているような感覚。
その時間が、思っていたより心地よかった。
初めては、予想外を連れてくる
振り返るとやる前に感じていた緊張よりも、
そのあとの時間のほうがずっと印象に残っています。
何歳になっても、初めてのことは少し怖い。
でもその分、
思いがけない出会いや出来事がある。
あの日も、
ただ通り過ぎていたら、あの時間はなかったと思います。
一人で過ごす時間という選択

一人で飲みに行くことは、まだ少しだけハードルがあります。
でも、「こういう時間の過ごし方もある」と知れたことで、
選択肢がひとつ増えました。
少しだけ緊張して、
少しだけ自由で、
少しだけワクワクする時間。
そんな時間も、悪くないと思いました。
-END-
